Monday 31 August 2015

ティエリーとドライヴ-寄り道編

車の運転大好き、人の案内大好き、マイナーなお城大好き、18世紀の椅子大好き・・・のティエリー氏は、ペーターおじさんと仲良し。
昨年までは、も・・・もしかして「彼らはカップル???」などと、詮索好きのDanaさんと私が誤解したぐらい、ティエリー氏は頻繁にル・シャトーにやってくる。
双方から「絶対に違う。一緒に旅行しても、部屋は別っ!!」と大笑いされて、疑惑は解けたのだが・・・、「君らの方こそ、いつでも一緒に来て、おんなじ部屋に泊まっとるくせに・・・。」と、ツッコまれる。 いいの、女子同士はツルンでても。それがデフォルトなのさ。(←性差別発言)
どうやら、ティエリー氏がル・シャトーに出入りするのは、夏の間とクリスマス頃、いわゆるホリデー・シーズンで(普段はパリのど真ん中在住)、その頃に我々もル・シャトーにやってくるので、「いつも来る(いる)ティエリー氏」の印象が出来上がったしまった様。 そして、どちらも優雅なる趣味人・独身貴族、基本的に自由になる時間の量が、一般の人々とは段違いに多いことも、「ツルンでる」感を増長させるのかも・・・。
一方、昨年から、私達の「レンタカー+フェリーで自力で来る」プランは、UK物価上昇の前にあえなく崩壊し、ユーロスター+鉄道で来て、ル・シャトーにゴキゲンでカンヅメされている・・・のだが、ここで、「案内ドライヴしたくてたまらん人」と、「乗せてってもらえるならハッピーな人達」の間で、うるわしく、かつ、有益な、興味+利害の一致が生じたのだった。
つまり、ティエリー氏がドライヴァーで、Danaさんと私が、プチ資本家として・・・ガソリン代や氏の入場料を負担+ランチかお茶をごちそう。 私達の希望目的地に向かっては行くけれど、途中の「見どころ」は、博学の氏におまかせ、という、画期的な条約が出来上がった。

さて、そのドライヴの第一回目が、前回まで書いていたSaint-Céneri-le-Gérei(サンセヌリ・ル・ジェレ)村。
もちろん、目的地には着いて楽しんだわけだけれど、それだけでドライヴが終わるはずがない。行きと帰りに、場所も定かでない、ミステリー名所に案内されるのだった。


Drive
La Sauvagère(ラ・ソヴァジェール)の村は、
ル・シャトーから南東方面に向かう時に、いつも通過する。
Pおじさんの車から、ここを撮ろうとするも・・・、
反射神経のいいおじさんは、年甲斐もなく飛ばすので、毎回ブレブレ写真。
模範安全運転ドライヴァー、ティエリー氏の運転だと、ちゃんと撮れた^^。
と、喜んでいるのもつかの間・・・。

Couterne(クーテルヌ)という小さな町を通り抜ける。
するとすかさず「そういえば、ここにもシャトーがあるんだよ。」
と、サンセヌリなら左に曲がるのを・・・右に曲がる、ティエリー氏。やれやれ。

Chateau de Couterne
車が止まったのはここ、Château de Couterne (シャトー・ド・クーテルヌ)。
Moat(モート=掘)の名残の池が前に広がる優美なお城。

Chateau de Couterne
16世紀の建造に、17世紀の増築なのだそう。
現在もオリジナルの一族の末裔の住む個人邸ながら、
重要保存建造物に指定されていて、
夏の間一定の曜日で庭を公開している。
また、秋の重要保存建造物公開日には、
ガイドツアーで内部も見ることができる。
(そうすると、税金が軽減されるのだとか。)
「建造物オープンディ(Open House London)はロンドンでもあるよ。」
と話してたら、
「ふっ^^、あれは、フランスで始まって、ヨーロッパ諸国に広がったものなのだよ。」
と、得意気に語るティエリー氏、

Noriko's photo - Thierry and me
Photography by Noriko Stardust.
と、私が、シャトーを撮影しているところ、を、Danaさんが撮影。

Chateau de Couterne
真正面。
フランスのお城にしては珍しい方だと思うけれど、レンガがむき出し。

Chateau de Couterne
これは裏側に回ってのヴュー。
正面はベル型の屋根のかかったタワーが、フランス的だけれど、
裏から見ると、イギリスのマナー・ハウスかと思う。
ま、窓が、上下に開くサッシュか、両開きのフレンチ窓かの違いはあるけれど。



Drive
さて、一つ目の寄り道で一応満足したかの、ティエリー氏、
東へ東へと車を走らせる。

Drive
どこか全くわからない町や村を抜け、サンセヌリにひた走る・・・。
だったらいいんだけど、現実は、
もう一つその前に「展望台」を見せたくって、見せたくって仕方ない。
「先にサンセヌリっ!!」とD+Kの強い主張で、前々回からのサンセヌリに無事到着。

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「じゃーあ、帰りに展望台(Belvedere)いこうねっ^^。」っていうことで、
半ば強制的に連行。
でも、ま、まだ日も長いし、サンセヌリも堪能できたし、ハッピーに連行される。

Belvedere, Mont des Avaloirs
着いたところは、もうどこだか全くわからない、小高い丘の上に、
こんな展望台がおったっている。
後でBass-Normandie Belvedereでイメージ・サーチかけて、
このフォルムで探し当てた。
Belvedere, Mont des Avaloirs
(ベルヴェデール、モンディゼヴァロワール・・・
ええぃフランス語のリエゾン嫌い・・・笑)
この頂上の聖火台?みたいなお皿の部分が展望台になっている。

Belvedere, Mont des Avaloirs
その「皿」からのヴュー。
いい天気なので視界がいい。

Belvedere, Mont des Avaloirs
この前に、(後日訪れた)Château de Carrouges(シャトー・ドゥ・カルージュ)が、
見えるとか、見えないとか・・・写真にとって拡大してみたけど、
私にはやはり、判別つかず。

Belvedere, Mont des Avaloirs
解説もちゃんとついてるんだけど・・・、
もしかして、見ている方角ずれてた?
ともあれ、そのもっと先はロンドン。

Drive
下に降りてきて、周りを取り囲む鬱蒼とした森を撮影。

で、車に乗り込んだら、Danaさんが「ぎゃ、ハチに刺された!!」。
車の座席にいたハチの上に座ってしまったのだ。
そのハチは氏と私が、水のボトルで撲殺、
たまたま持っていたカゼ引きかけに効くレメディー、アコナイトが、
ハチさされなどのショックにも効く、というので、Danaさんに渡しておく。
Danaさん、ホメオパスだけあって、こういう知識が役に立つ。
幸いその後、順調に2-3日で回復して、大事には至らず。

とはいうものの、この時は、ホメオパシック・レメディー救急キットのある、
ル・シャトー、アネックスに大急ぎで戻るべく・・・、
これ以上のティエリー氏の寄り道もなし。

Drive
相変わらず、どこを走っているかはわからず・・・、

Drive
向こうに見える、デコラティヴなツインタワーから、
La Ferté-Macé(ラ・フェルテ・マシ)の町を走っていると推測。

そんなこんなで、まだ明るいうちに帰還のドライヴだった。
その後、もう2回ドライヴに連れ出してもらったので、また後日その話題を。








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Saturday 29 August 2015

Saint-Céneri-le-Gérei(サンセヌリ・ル・ジェレ)-チャペルとサルト川

Saint-Céneri-le-Gérei(サンセヌリ・ル・ジェレ)の教会をでて、その先にある草地に入って行くと、その中にぽつんと15世紀のチャペルが建っている。


La Chapelles Saint Ceneri
草地の先にはLa Sarthe(サルト川)が蛇行して流れる。
その向こうには深い森。とてもフォトジェニック。

La Chapelles Saint Ceneri
風光明媚なこの村は、19世紀後半から、画家たちを惹きつけ、
この独特のチャペルも、繰り返し描かれてきたのだそう。
ちなみに、この村は現在でもアーティスト村として知られている。
あー、現代アーティスト達は、
自分のテイストではなかったので、完全黙視してるけど・・・(笑)

Untitled
Photography by Noriko Stardust
こちらの方は壁画はなくて、
近年のモダンなステンドグラスが入ってたりして、
自分的にはあまり興味が無い。
なので、無意識に全体インテリアを撮っていない。
Danaさんのiphoneは広角なので、楽勝でキャプチャー。写真借りたよ^^。
不思議な壁の祠を撮っているおっさんが、私・・・。

La Chapelles Saint Ceneri
その祠。
中は現代物のキッチュ・ホログラフィーな、
ジーザス先生になってるけれど。

La Chapelles Saint Ceneri
大概古い(いつ頃かは判別つかず)セヌリ聖人像がここにも。
この像にまち針を刺すと、一年以内に結婚できるとかいう話で、
ちょっと痛々しいことになっているセヌリさん。
聖セバスチャンぢゃあないんだから、体に刺すのはやめて・・・。

La Chapelles Saint Ceneri
サイドの祭壇は18世紀のものかと。
ここに描かれているのも、セヌリさん。
赤いローブと赤い(麦わら帽子みたいな)帽子は、Cardinal(枢機卿)の象徴。
ま、7世紀のセヌリさんの時代に、この制服があったかどうかはともかく・・・。

La Chapelles Saint Ceneri
祭壇下部ののどかなペイント。
羊を屠って、神に捧げるバーベキュー。

La Chapelles Saint Ceneri

La fontaine du Petit Saint-Celerin
チャペルから川を挟んだ対岸に、小さな祠がある。
これは、聖セヌリが喉が渇いた巡礼者を助けるために、
奇跡で泉を湧き出させた・・・その痕跡。
いつでも水が絶えない、そうだけど、
今年の夏は熱くて、水が湧きだしていない・・・様子。

La Sarthe
ま、ここの奇跡の泉からの水はなくても、サルト川は豊かに流れている。

La Sarthe
ここから川沿いの道が村の駐車場の方に続いている。

蛇行する川は、この教会とチャペルを取り囲むようにして、
教会の裏側に続いている。
その橋を越して、川沿いに散策。

Saint Ceneri le Gerei
前も載せたけど、橋の上からの眺め。
建物のあるあたりの、対岸を歩く。

Saint Ceneri le Gerei
小さな堰。

Saint Ceneri le Gerei

Saint Ceneri le Gerei
その先の小さな落水。

Saint Ceneri le Gerei
この日はとても蒸す夏日だったので、水ばかり撮ってる。

Saint Ceneri le Gerei

Saint Ceneri le Gerei


Saint-Ceneri-le-Gerei 
(サンセヌリ・ル・ジェレ)




次回はこの村へのドライヴの行き帰り、寄り道話を。



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Thursday 27 August 2015

Eglise de Saint-Céneri-le-Gérei (サンセヌリ・ル・ジェレ教会)

引き続きノルマンディーの「美しい村」Saint-Céneri-le-Gérei(サンセヌリ・ル・ジェレ)より、ここの村の名前の語源になった聖人さんに端を発する教会のイメージを。
この教会は村と同じEglise de Saint-Céneri-le-Gérei (サンセヌリ・ル・ジェレ教会)と呼ばれていて、11世紀に現在の建物の基盤が建てられた。
そもそもこの、セヌリさん (Serenicus または Genericus) という聖人さんは、602年にローマから100km離れたSpoleto(スポレト)に生まれ、枢機卿(Cardinal)となったが、天使のお告げを受けて、この地にたどり着き、La Sarthe(サルト川)のほとりで隠者として暮らした、とされている。

Saint Ceneri le Gerei
崖の上に建つ教会の外観は、これは橋の上裏側から見たところ。
11世紀に、ここに城が建てられたのと、同時期に建造されている、
ロマネスク様式。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
中はロマネスクらしい、シンプルな構造。
ここの内陣部分に壁画が残っている。
この村にやってきた目的の半分は、
そのロマネスク壁画を見たかったから。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
幾何学的な装飾と、素朴な彫りの十字架。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
奥の内陣部分の壁に、見事に壁画が残されている。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
こちらも素朴でチャーミングな表現。
使われている顔料も、
赤・オーカー・焦げ茶・ブルーグリーン(?)の4色のみ・・・かな。
壁画は12世紀に描かれたものと、
14世紀に描き足されたものとがあるそう。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
かわいいジーザス先生。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
天の父様は、ブレッシング(祝福)の手・・・というか、
Vサイン・セルフィー風だし。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
聖マーティン(?)も、なんだか、うふふ顔。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
天使の羽根が、孔雀風なのか、星なのか、
ふわふわ・キラキラした感じがよく出ている。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
13世紀頃のイタリア特有だと思っていた、
Virgin of Mercy(慈悲の聖母)に出くわす。
これは確実に14世紀に描かれた部分に違いない。
1280年にDuccio(ドゥチオ)の描いたパネルが、
最古の慈悲の聖母の様式だとされているので。
やっぱり、イタリアと縁がある教会だったのかな?

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
審判に出てくる悪魔君達はこれでは、ザリガニ?
壁画画家のファンキーな描写力。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
ステンドグラスとその周りの描写は、14世紀以降のものと。
12世紀ロマネスクの装飾は、ほぼ幾何学形態で、
スクロール(唐草)が現れるのは、ゴシック以降なのだった。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
これも初期ゴシックの、秀麗なスクロール。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
4福音書記者のシンボルを描いたあたりは、
12世紀の素朴さ漂う・・・、にしては、見返りライオン、
うまく描かれているぞ。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
天井にもペイントが残っている。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
このおぢさんが、セヌリさん。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
私達は壁画にしか目が行ってなかったけど、
18世紀マニアのティエリー氏のチェックが入った、
サイド・チャペルの祭壇。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
18世紀だけあって、装飾がいかにも「Pおじ箱」的でもある。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
一番上のジーザス君・・・このフォームは・・・、
典型的な「マーキュリー」なポーズ。始めた見たよ。
こんなことでOKだったんだろうか(笑)。

Eglise de Saint Ceneri le Gerei

Eglise de Saint Ceneri le Gerei
その祭壇に飾られた奉納装飾達。
今どきアンティークで人気の、こういうオーナメントは、
こんな風に祭壇に飾られてたんだーと、ルーツ確認。

Le Jour ni l’Heure 9680 : église de Saint-Céneri-le-Gérei, 1089-1125 & XIVe-XVe s., Orne, Basse-Normandie, vendredi 22 août 2014, 13:01:16
Photography by Renaud Camus
外観は、Flickrより借り物写真で。



Eglise de Saint-Céneri-le-Gérei 
(サンセヌリ・ル・ジェレ教会)

61250 Saint-Céneri-le-Gérei, France



次回はこの教会からまだ先に進んで、川沿いの草地の中に建つチャペルやら、サルト川のイメージを。



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